累計3億円を得ている栗原久美子です。

第1章:値上げしようか迷って、結局そのままにした日はありませんか
電卓を叩いて、百円だけ上げてみようかと考えて、でも、それで売れなくなったら困ると思い直して、値札に手をつけないままそっと閉じる。そういう夜を過ごしたことがある方は、たぶん少なくないと思います。
手元に残るお金を増やしたい。でも、そのために自分でできることといえば、値段を上げるか、もっとたくさん売るか、そのどちらかしかない。どちらも勇気がいるし、どちらも失敗すると今より状況が悪くなります。だから結局、去年と同じ値段のまま、今年も一年が過ぎていく。
働く量を増やさずに手取りだけが変わることなんてあるのか。以前の私なら、そんな話は疑ってかかったと思います。
第2章:値札に手をかけるたび、心臓が痛かった頃
日本の中だけで品物を売っていたころ、手取りを動かすつまみは、私の手元に一つしかありませんでした。値段です。
送料が上がる、梱包材が上がる、手数料の条件が変わる。出ていくお金は勝手に増えていくのに、入ってくる金額は自分が値札を書き換えないかぎり一円も変わらない。そして書き換えようとすると、途端に怖くなります。この百円で、いつも買ってくださっている方が離れてしまったらどうしよう。
結局、私は値上げを先延ばしにして、そのぶんを自分の作業量で埋めていました。もう一件、もう一つ、と積み上げる。手取りは少しずつ増えましたが、増えたぶんだけ自分の時間が減っていたので、実際には何も変わっていなかったのだと思います。
値段と手取りが一本の紐で固く結ばれている。その紐を引っ張れるのは自分だけで、引っ張るのは怖い。ずっとその状態で商売をしていました。
第3章:値札に一度も触っていないのに、金額が違っていた
海外に向けて品物を出すようになって、しばらくしてからのことです。
ドルで値段をつけたまま、何か月も見直さずに置いてあった商品が売れました。前に同じものが売れたときと、まったく同じ値段です。ところが、通帳に入った円の金額を見ると、前と違っていました。
からくりは単純で、ドルを円に直すときの割合が変わっていただけです。私は何もしていません。値札も書き換えていないし、説明文も直していないし、余分に働いてもいない。それなのに、円で見たときの手取りが動いていました。
輸出をしている会社が、円が安い時期に業績が良くなると言われるのは、これが大きくなったものです。難しい仕組みが働いているわけではなく、受け取っているお金が円ではないから、円に直すところで金額が変わるというだけの話です。
そのとき初めて、値上げという行為と、手取りの増減が、必ずしも一本の紐でつながっていなくてもいいのだと分かりました。私にとってはそこが大きな発見でした。
第4章:この追い風は、今たしかにこちらへ吹いています
大事なのは、円が安い今、この仕組みが海外に品物を出している人にとって、はっきり追い風の側に働いているということです。同じ売値のまま、円に直した手取りが前より増える。作業量を増やしたわけでも、値上げをしたわけでもないのに、外にお金の入り口を持っているというだけで、今の流れがこちらを後押ししてくれます。
これは気休めでも、うまい話でもありません。受け取っているお金が円ではないから、円に直すところで金額が変わる。ただそれだけの、計算どおりの追い風です。だから今この時期に、外への一歩を持っておく値打ちがあります。
もちろん、風はいつか向きを変えることもあります。だからこそ、追い風に乗りながら、足場だけは自分で持っておきます。私が置いている足場は二つです。
一つは、値段を決めるときに、円に直す前の段階で利益を確かめておくこと。売値から、送料と、販売サイトの手数料と、相手の国でかかる関税と、仕入れた金額を引く。引いたあとに残る数字を、ドルのまま見ておく。ここが十分に残っていれば、円に直した金額が多少上下しても慌てずに済みます。
もう一つは、円換算の数字が良く見える時期に、値段を下げたり仕入れを大きくしすぎたりしないことです。値札は、為替ではなく、品物そのものの相場と状態で決める。この二つさえ持っておけば、今の追い風は、こわがる理由ではなく、素直に乗っていい波になります。
第5章:値上げで悩む回数が、はっきり減りました
この形になってから、私の一日の中身が変わりました。
以前は、値段を上げるべきか下げるべきかを考えている時間がかなりありました。今はその時間が、何を選んで、どう説明して、届いたあとにどんな一言を添えるか、という部分に移っています。
考えても答えの出ないことに使う時間が減って、考えたぶんだけ結果が変わることに使える時間が増えた。手取りの金額そのものより、この入れ替えのほうが、私にはありがたい変化でした。
第6章:違いは、値札の届く範囲だけ
特別なことをしているわけではありません。日本にあるものを、それを欲しいと思っている海外の方に届けている。ただそれだけです。
同じ品物でも、日本の中だけに向けて出すと、値札は円で書かれ、買ってくださるのは日本の方に限られます。海外に向けて出せば、値札はドルで書かれ、見てくださる方の数も、お金の入り口も変わります。やっている作業はほとんど同じなのに、届く範囲だけが違います。
英語は、その範囲を広げるための道具でした。商品の説明ができて、届きましたか、ありがとうございます、というやり取りができれば足ります。翻訳も、下調べも、画像の用意も、今はGeminiのような無料の道具で間に合います。
ただ、道具が揃っただけでは売れません。何を選ぶか、いくらで出すか、どう伝えるか。ここは実際に売ってきた人の手順をなぞるのが、いちばん近道です。私自身、最初に独学でやろうとして、ずいぶん時間を使ってしまいました。
第7章:今日は、ドルで値段を書いてみるだけ
大きな話をしましたが、今日やることは小さくて構いません。
今売っているもの、あるいは家にある品物を一つ選んで、もしこれを海外の方に売るならいくらか、ドルで書き出してみてください。円に直さなくて構いません。ドルの数字のまま眺めてみる。それだけで、値札と手取りが別のところにある感覚が、少しつかめると思います。
値上げの勇気が出ないまま毎年を終えるのか、値札の届く範囲のほうを広げてみるのか。変えられるのは、たぶん後者のほうです。
海外向けの販売の始め方や、英語を使った副収入については、メルマガでもう少し具体的にお話ししています。よかったら覗いてみてください。
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<<<今日の一言英語>>>
I’d like to keep the price as it is.
(アイド ライク トゥ キープ ザ プライス アズ イット イズ)
意味:値段はこのままにしておきたいと思います。
使用例:以前と同じ商品を再び注文されたお客さまに、
「I’d like to keep the price as it is.
(値段はこのままにしておきますね)」
と伝えると、前回と同じ条件で買えることが伝わります。
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