累計3億円を得ている栗原久美子です。

第1章:Return requested、この通知で手が止まる
発送も済み、追跡も配達済みになって、そろそろ次の出品にとりかかろうかという頃に、通知が一つ届く。Return requested。返品したい、という申し出です。
画面を見た瞬間から、頭の中が忙しくなると思います。何か不備があったのだろうか。送料はどちらが持つのか。戻ってきた商品は、また同じように売れるのか。海外に向けて商品を売り始めた方が、値段の交渉よりも配送の遅れよりも身構えてしまうのが、この一通です。
指が止まるのは、英文が難しいからではありません。受ければいくら減るのか、断ったら何が起きるのか。どちらに転んでも損をしそうで、その見当がつかないまま、返信画面だけが開いたままになります。
第2章:断る理由を探しているうちに、一日が終わっていく
返品を受け付けない設定にしてあるのだから、これは断れるはずだ。最初はそう考える方がほとんどです。商品説明にもそう書いてある。事情を丁寧に説明すれば、引き下がってもらえるのではないか。
ところが、そう書いた返信を送ると、話はたいてい長くなります。届く文面はだんだん強くなり、写真が送られてきて、説明と違うという言葉が出てくる。そこまで来ると、販売の仕組みそのものが買い手の側に立ち、説明と違うという申し出は最終的にはほとんど通ります。結局は返品を受けることになり、そこにたどり着くまでの数日と、すり減った気持ちだけが余計に消えている。
断れるかどうかを考えている時間が、いちばん高くついています。
第3章:向こうでは、返品はもともと買い物の一部
日本で買った物を店に返しに行くのは、少し気が引ける行為です。理由を聞かれ、店員さんが奥に確認しに行き、こちらは小さくなって待つ。返品という言葉に、失敗や苦情の匂いがついています。
欧米の店には、この空気がありません。サイズが合わなかった、色が思っていたのと違った、家族が同じものを買っていた。レシートを出してそう言えば、手続きが進みます。理由を詰められることも、謝ることもない。買う側は、合わなければ返せるという前提で買っていますし、売る側もそれを織り込んで商売をしています。
だから、海外のお客さまから届く返品の申し出は、多くの場合、怒っているわけでも、こちらを責めているわけでもありません。合わなかったので手続きをします、という連絡です。文面が短くそっけないのも、事務の連絡だからです。受け取った側が苦情として読んで、勝手に身構えている。そういう場面が本当に多いところです。
第4章:返品の一通に、そのまま返せる文面
返信は短くて構いません。受けると伝える、送り方を伝える、返金の時期を伝える。この順番で足ります。
Thank you for letting me know. I’ll be glad to take it back.
(ご連絡ありがとうございます。喜んでお引き取りします)
Please send it back with a tracking number, and I’ll issue the refund as soon as it arrives.
(追跡番号のつく方法で送り返してください。届き次第、返金の手続きをします)
送料の扱いだけは、はっきり書いておくと後で揉めません。説明と違っていた場合と、気が変わった場合とで、持ち方を分けます。
If the item wasn’t as described, I’ll cover the return shipping. If it’s a change of mind, the return shipping is on your side.
(説明と違っていた場合は、返送料はこちらで持ちます。お気が変わった場合は、返送料はご負担ください)
手元に置いておきたそうな相手には、別の道も出せます。
If you’d rather keep it, I can refund part of the price instead.
(お手元に残されるのでしたら、代わりに一部を返金することもできます)
避けたいのは、理由を掘り下げることです。Why do you want to return it? と書いた瞬間に、手続きの連絡が交渉に変わります。相手はこちらを納得させるために不満を探し始め、話が別の方向へ伸びていく。聞かなければ、ただの返品で終わった一件です。
第5章:受けると決めておくと、やり取りが三通で終わる
先に受けると決めてしまえば、通知が届いた瞬間に返す文面が決まっています。悩む時間がなくなり、往復は三通で終わる。強い言葉が出る場面もないので、評価が荒れることもありません。
それに、返品は売り上げがまるごと消える出来事でもありません。戻ってきた商品は、また出せます。傷んでいなければ、次のお客さまに同じ値段で届きます。減るのは往復の送料と、少しの手間だけです。
何件かに一件は戻ってくるものとして値段を決めておくと、この出費は事故ではなく、はじめから見込んでいた経費の中に収まります。そう置いてしまえば、返品の連絡が来ても数字が少し動くだけで、気持ちまでは動かなくなります。
第6章:返せるから、遠い国の人も買ってくれる
返品の受け方が決まっていることは、守りの話に見えて、実は売る力そのものを支えています。顔も見えない、手に取ることもできない相手が、それでも注文してくれるのは、合わなければ返せると分かっているからです。
日本にある品物を海外のお客さまへ届ける仕事は、ここさえ決めてしまえば、思っているより静かに回ります。英語も流暢である必要はありません。返品、発送、値段。場面ごとの短い文面を持っていれば足ります。文面を作るだけなら、Geminiのような無料の道具でも作れますし、日本語で状況を書けば失礼のない英文にはなります。
ただ、どこまで受けて、どこで線を引くかという判断までは、道具は出してくれません。ここは同じ場面を先に通った人のやり方を知っているかどうかで、手元に残るものが変わってきます。
第7章:返品欄を、今日のうちに一度開いてみる
出品ページの返品に関する欄を、久しぶりに開いてみてください。受け付けないままになっているなら、受けると決めて、受付の期間と送料の扱いだけ書き足しておく。それだけで、次に通知が届いたときに消えていたはずの数日が、まるごと要らなくなります。
返品の申し出は、取引が失敗した知らせではありません。合わなかった一件を片づけて、次のお客さまへ進むための連絡です。そう読めるようになると、海外に売るという仕事そのものが、ずいぶん軽くなります。
返品も含めた海外向けの販売の進め方や、そのまま使える英語の文面については、メルマガでもう少し具体的にお伝えしています。よかったら覗いてみてください。
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<<<今日の一言英語>>>
I’ll be glad to take it back.
(アイル ビー グラッド トゥ テイク イット バック)
意味:喜んでお引き取りします。
使用例:返品したいという連絡を受けたときに、
「I’ll be glad to take it back.
(喜んでお引き取りします)」
と伝えると、身構えていた相手の文面が、次の一通からやわらかくなります。
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